道迷いのときの心理
2020年2月1日、遭難しそうになりました。
結果的には無事下山できましたが、遭難することとはこういうことだというものが感覚的に分かった気がしましたので、忘れないうちにここに記したいと思います。
海沢園地~大岳山は(2012年の山と高原地図では)破線ルートになっています。
海沢園地から雪交じりの破線ルートにはいります。20分ほどはルートファインディングできましたが、その後よく分からなくなりました。
結構急斜面かつ踏み跡がないので地面がふわふわしています。木をつかみ岩をつかみ、少しずつ高度を上げていきます。
そこそこ高度を上げましたが、まだ前方に山がそびえていますので登らなければなりません。しかも登ったところで登山道に合流するかどうかも分からず不安になります。
13時に差しかかるころ、撤退することにしました。
あと1時間ぐらい登れば登山道に着くかもしれないという期待がありました。その反面、登り続けても登山道に合流しなかったらかなり精神的に不安になります。
そんなことが頭をよぎる中、時間的な不安、すなわち下山に迷って暗くなってしまったらどうしよう?という不安を払しょくするため、早々に下山を決意しました。
そのときの自分の行動心理を説明したいと思います。
まず状況としては「ルートを見失っている」「道しるべであるテープや標識は見当たらない」「上に登れば登山道につながるだろうと思い、ガシガシ登る」といった感じです。
ルートもない中、そこそこ高度を上げました。尾根にも取り付きました。でも登山道には至りません。自分が登ってきたルートを覚えつつ登ってきたつもりが、下りはそのルートをトレースすることはできませんでした。
そうしているうちにいずれ崖に至ります。
こんな崖を登ってきた覚えはないので明らかにルートを外していますが、ではどこがルートなのかがよく分からなくなってきました。人の記憶なんて大したことはありません。
急峻なところを避けながらウロウロして下山ルートを探ります。
日没までまだ時間的ゆとりはあります。道迷いしたときのセオリーとして上を目指そうかと思いました。でも自分の気持ち的には下りようという気持ちが強かったです。
ここまで登るのにかなりの体力を消耗したので、さらに登る気持ちにはなりにくかったです。下る方がラクですし。なので下る前提の行動になりました。
登ってきたルートの記憶をたどりながらウロウロしますが、やはり崖に至ります。こんなところ登ってきた記憶がないしフツーに降りられません。
なので下りられる場所を探してさらにウロウロします。
そうこうするうちに見覚えのある場所にたどり着くことができ、下山することができたのですが、これは貴重な経験になりました。整理すると、
- 体力を消耗している状況で、さらに上の山を登るという選択は精神的にしにくい
- 下山中、明らかに崖と思われるところも、慎重に降りれば下りられるのではないかという思いに駆られる
この2点が遭難の原因なのかなと思いました。
今回は快晴、無風、気温10度ほど、冬場で木に葉がなく視界が確保できたので好条件でしたが、夏場でガスっていたらと思うとゾッとします。
みなさんも道迷いの際はくれぐれもご注意ください。